世界へ日本の文化をお届けされている 三英堂 代表取締役 岡 敏和 氏をご紹介します。
「仙田君~。お菓子食べる~。」と、会社へお伺いするたびにお誘いの言葉。
もちろん、ありがたく”ごっつぁん”です。
三英堂さんは「カステラ」「菜種の里」で有名な松江の伝統を継承する老舗の和菓子店さんです。
行くたびに職人さんが丹精込めたその季節のお菓子を頂きます。
これが旨いんです。
柔らか~い求肥(ぎゅうひ)に、上品な甘さの(あん)。
どうしたらこんな季節の色が再現できるのだろうと思う美しさでもあります。
全国の大切な方へ是非、送って頂きたい松江の逸品です。
奥様と結婚された日が岡社長の入社日でした。
その頃までの業界は松江市内のお客様で充分に生業(なりわい)ができた時代だったそうです。
ところが大規模小売店舗立地法が改正され、大規模ナショナルブランドが進出し始め地元だけではご飯が食べられなくなる変化が訪れたのをきっかけに、市外へも進出、そして県外へ販路を拡大されていかれます。
岡社長が県外へ販路を拡大し始められた頃、パンフレットさえ業界では珍しく、岡社長はサンプルをカバンに詰めて新宿や渋谷のデパートへ飛び込み、販路開拓をされたそうです。
今は、宅配便に頼めば翌日か、翌々日にはお客様の元に届きますが、その時は夜行列車に荷物を載せてもらい商品を送るか、郵便小包で送っていた時代。
「丁度、ヤマトさんの営業所が松江にできて日に何度と持って行ったね。持って行くと送料を100円値引いてくれたんだよ。」と小さな積み重ねを大事にされる岡社長らしい教えをそれとなく伝えて頂きます。
岡社長の経営理念は、「手作り」「技術を若い職人さんに伝え継承する」「”しののめづくり”など代々伝わる製法をもちいて三英堂さんオリジナルの”色を楽しみ”、”形を楽しみ”、そして”味わって頂ける”お菓子を提供し続ける事」だねえ~と、いつもの笑顔。 そして「時代の流れに合わせてやって行かんといけん事は、やらんといけん」とも。
二〇〇四年から始まった中小企業庁のJAPANブランド支援育成事業「松江・和菓子モダンプロジェクト」は二〇〇八年で終了し、今は、NEW松江菓子海外展開事業を展開していらっしゃいます。
岡社長はそこの委員長をされており、今年もニューヨークへ強行軍で行かれたそうです。
伝統に裏打ちされ「五感での味わい」を大切にする松江和菓子の文化が、米国で更に広がる可能性が高い事業と評価されています。
岡社長は「各国から沢山の話が来ているけど、各国にその国なりの事情がある。クリアしないといけない問題がある。一つ一つクリアしながら進んでいるよ。」と、その成果が確実に歩を進めている事を委員長として話して頂きました。
社長としては「宅配業務の発達が私達にチャンスをもたらしてくれると思う。
今は中国へ送る宅配便の料金は高いけど、格安料金になれば我々にチャンスが生まれてくる。
アメリカ企業は、もう格安航空を使って専用の貨物機をチャーターして毎日バンバン飛ばしているからね。」と。
伝統の製法を松江の地で次の代へ伝え、全国へ。そして、今度は世界へ目を向けっていらっしゃる岡敏和先輩です。